別荘の「民泊活用」のメリットと民泊新法(住宅宿泊事業法)について

ここ数年のコロナ禍による移動制限の中で近郊のリゾート地への宿泊需要が増加しました。コロナが落ちついた今でも、多くの事業者が別荘を民泊に活用しています。別荘の所有に困った場合、売却の他に民泊に貸し出すという選択肢があります。

この記事では、別荘を民泊に活用するメリットや民泊を始める際に避けては通れない民泊新法(住宅宿泊事業法)について解説します。

別荘を民泊に活用するメリット

別荘を民泊に活用する主なメリットは以下の3つです。

別荘を維持しつつ収益を得られる

別荘を所有すると、利用しない期間には管理が必要です。長期間留守にすると建物の劣化が進みます。敷地の清掃や草刈り、自然災害が起きた際は被害状況のチェックも欠かせません。管理会社に管理を依頼する場合は月に数万円程度の費用がかかります。しかし、別荘を民泊施設として提供すれば、収益を得られるだけでなく、別荘の管理も同時にできるというメリットがあります。

少ない初期投資で始められる

一般的に事業を始めるためにはまとまった資金が必要です。マンションやアパートなどの不動産物件を購入して貸し出す場合、購入のために大きな費用がかかります。しかし、所有する別荘を民泊に活用する場合、リノベーションやリフォームだけで済みます。多額の資金を投じても大きなリターンを得られるとは限りません。少ない初期投資でリスクを抑えながら始められる点が民泊の長所です。

不審者から狙われにくくなる

人の気配がない家屋は空き巣や悪戯、さらには放火などの犯罪の標的になりやすく、利用頻度の少ない別荘では特に対策が求められます。民泊利用者の出入りがあれば、不審者から狙われにくくなります。

  • 民泊のメリット1.収益を得ながら建物を良好な状態に保てる
  • 民泊のメリット2.少ない初期投資で始められる
  • 民泊のメリット3.犯罪リスクを減らせる

別荘を民泊に活用するデメリット

別荘を民泊に活用する場合、メリットだけでなくデメリットも知っておくと良いでしょう。別荘の民泊活用のデメリットをご紹介します。

所有者自身の利用が制限される

民泊の利用はゴールデンウィークや年末年始など長期休暇の時期に需要が高くなるため、所有者が使いたい時期と重なることがあります。そのため民泊の予約が入ると、所有者が別荘を利用できなくなります。

このデメリットを解決する方法として、所有者は事前に自身の予定を確認し予約を受け付けるかどうかを検討することが求められます。また、長期休暇や特定の時期に自身が利用する予定がある場合には、それを予約システムに反映させることで、利用の制限を回避できるでしょう。

民泊利用後に清掃が必要になる

別荘の清掃は自分でやるか、他の人に依頼するかを予め決める必要があります。人を雇ったり、業者に委託したりする場合は費用が発生します。所有者自らが清掃をする場合は予算を抑えられ、細かい部分まで丁寧に掃除できますが、時間や体力を消耗します。

また、大都市以外で民泊を行う場合、清掃スタッフの確保が困難なことがあります。自分で清掃スタッフを探すには時間や手間がかかり、採用後の教育も必要です。清掃業者が存在するエリアであれば清掃業者への依頼も可能ですが、それが難しい場合は自分で清掃をする必要があります。

  • 民泊のデメリット1.所有者の利用が制限される
  • 民泊のデメリット2.宿泊後に清掃を行う必要がある

別荘民泊の開始前に確認すべき点

別荘を民泊に使いたいという場合は、その地域や建物で民泊が禁止されていないかどうかを確かめるようにしましょう。例えば、マンションでは管理規約の中で宿泊営業や民泊などが明示的に禁止されているケースも少なくありません。自治体によっては民泊に関する条例を設けています。マンションの管理規約や自治体の条例などを確認したうえで、民泊を検討されることをおすすめします。

民泊新法(住宅宿泊事業法)とは?

民泊新法(住宅宿泊事業法)は健全な民泊サービスの普及を目的に成立した法律です。以前は空室があれば誰でも開業できたので民泊サービスが急増し、それに伴い賃貸マンションや無許可での運営が増えトラブルが多発していたという状況でした。

この問題に対処するため、平成30年6月に施行された住宅宿泊事業法は、民泊経営において重要な内容が含まれています。その概要は以下の通りです。

  • 届出の必要性 – 住宅宿泊事業者として活動するには、自治体に対して事前に届出を行う必要があります。この届出を行うことで、住宅内での民泊サービス提供が可能となります。
  • 居住要件と設備要件 – 民泊を行う住宅は、一定の居住要件と設備要件を満たさなければなりません。これにより、安全かつ健全な環境でゲストを受け入れるための基準が設けられています。
  • 適正な措置の義務 – 住宅宿泊事業者は、民泊事業を適正に行うためのさまざまな措置を講じる義務が課せられています。これには騒音や迷惑行為の防止、安全対策の実施、ゲストとの円滑なコミュニケーションの確保などが含まれます。

この民泊新法により、民泊事業はより健全な形で展開され、安心して宿泊できる環境が整備されました。そのため民泊利用の需要は今後さらに高まっていくと考えられます。

民泊における年間営業日数の制限

民泊新法(住宅宿泊事業法)により、住宅宿泊事業者としての届出を行えば住宅で宿泊サービスを提供できるようになりました。

ただし住宅宿泊事業者として民泊を運営する場合、サービスの提供は年間180日以内に制限されます。この制限は年間180日を超えると、一般的なホテルや旅館と同様の運営となり、旅館業と競合する可能性があるためです。

もし年間180日を超えて民泊サービスを提供したい場合は住宅宿泊事業者ではなく、旅館業法に基づいて許可を取得する必要があります。この取得プロセスには追加の手続きと条件があるため注意が必要です。

民泊施設に求められる居住要件と設備要件

住宅宿泊事業者として民泊を行う際の条件には、居住要件と設備要件があります。概要は以下の通りです。

居住要件

住宅宿泊事業を実施する場合、対象住宅は以下のいずれかに該当する家屋である必要があります。

  • 現に人の生活の本拠として使用されている家屋
  • 入居者の募集が行われている家屋
  • 随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋

設備要件

住宅宿泊事業を実施する場合、対象住宅は以下の4つの設備すべてが設けられている必要があります。

  • 台所
  • 浴室
  • 便所
  • 洗面設備

これらの設備は同一敷地内にある建物であれば合算して一つの住宅として届出が可能です。しかし、公衆浴場が近隣にあるからといって、浴室を備え付けなくて良いわけではありません。

まとめ

今回は別荘の民泊活用についてご紹介しました。民泊は所有者による利用が制限される点や、宿泊後に清掃を必要とする点がデメリットとして考えられます。また、民泊新法に基づく住宅宿泊事業者については、年間の営業日数の上限は180日と定められています。

しかし、民泊の需要は右肩上がりで伸びており、別荘を民泊に活用することで良好な管理状態を維持しながら収益を得られる点が魅力です。

別荘は放置すると老朽化や空き家リスクが生じるため、民泊活用も選択肢の1つとして検討されてはいかがでしょうか。別荘民泊に興味をお持ちの方は、別荘売却ナビを運営する株式会社ミライエにぜひご相談ください。

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この記事の監修者

株式会社ミライエ

任意売却を中心に3,000件以上の実績
不動産競売流通協会 第1位
テレビ出演経験あり(ビートたけしのTVタックル出演)

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